一人っ子の国
本や映画の紹介
中国の一人っ子政策という言葉を聞いたことがある人は少なくないと思いますが、その政策が実際中国国内でどのように行われていたのかということを具体的に知っている日本人はほとんどいないと思います。
僕もその一人で、結婚しても子供はひとりだけにしてくださいね~と言った努力目標的なもののように捉えていたのですが、この「一人っ子の国」というドキュメンタリー映画を観て、自分の無知さを恥じることとなりました。
映画を製作した中心人物は、一人っ子政策を実際に受けていた世代の2世にあたる女性です。
彼女は現在中国を出てアメリカで生活をされているようで、国外から母国を見てその異常さを記録に残したかったのかも知れません。
衝撃的な話が二つあります。
ひとつは一人っ子政策というのは決して努力目標と言った甘いものではなく、ひとりを出産すれば二人目は絶対に産ませないという強硬な手段をとっていたことでした。
もし二人目を妊娠してしまったら中絶手術を強制的にしますし、ひとり目を出産したら避妊手術も強制的に実施されます。
もしそれを拒めば引きずってでも病院に連れ込まれたり、家の屋根を剥がされたり、最終的には家を取り壊されたりしたそうです。
その話の中でひとりの女医の話がありました。
彼女は20年近く避妊手術や中絶手術を行っていたそうですが、その数は5万から6万件もあったそうです。
避妊手術と中絶手術の割合まではその映画の中で言及されてなかったため、何人の命を奪ったのかというのは分かりませんでした。
ただ確実に言えるのは、ひとりの政策側の人間が数万人の女性の人生を強制的に奪うという事実が存在していたということです。
衝撃だったことのもうひとつは、中絶といっても8カ月や9カ月になってから行われたこともたくさんあったということでした。
それはその女医の話だけでなく、黄色いビニール袋に入れられその上から黒いゴミ袋に包まれた赤ちゃんたちが、ゴミの山のところどころに捨てられている写真が証明していました。
一人っ子政策は、人口過多のために将来的に餓死する人たちを救うという目的があり、この映画を撮影した女性の親世代のほとんどが政策は間違っていなかったし、それがあったからこと今があるといった考えを持っています。
日本の今のコロナに対する政策と比較するのはおかしいと思うかも知れませんが、みんなが正しいと思っていることが後世からみると奇妙に思うこともたくさんあるはずです。
国の政策というのは、本当に恐ろしいなと感じる映画でした。
タクティリス~正美編 第六話
「秋山さん」
正美の後ろから女性の声が聞こえた。振り返ると悟と同じ年の男の子を持つ飯塚さんの笑顔があった。飯塚さんは、正美よりも十歳年下で、三十五歳になる。ご主人の浮気が原因で、二年前に離婚し二人の子供を一人で育てている。雄介くんが小学校一年生、薫ちゃんが五歳で、保育園に通っている。
飯塚さんは薫ちゃんの手を引きながらいつもの元気な笑顔を振りまいていた。正美は、他人に家庭内のことを相談することは無いのだが、彼女にだけは不思議と全てを打ち明けていた。それは自分にはない、女性としての強さを持っている彼女に対する尊敬と安心感から来ているようだ。
「おはよう。薫ちゃんと二人で来たの?」
「母も一緒に来てるんですよ。気合をいれてお弁当まで持参してくれてるんです」
「そう、よかったわね。薫ちゃんもおばあちゃんのお弁当、楽しみね」
正美は、飯塚さんの横にいる娘の薫に声をかけた。飯塚さんの娘の薫は、普段から女の子にしては口数が少なかった。社交的で、誰にでも気さくに声をかける母親とは、正反対の性格のようだ。
薫は正美の顔をじっと見ていた。正美はさっきまで想像していた事を見透かされているよう
な気がして落ち着かなくなっていた。
「ユーくん、頑張ってたね」
二度目の問いかけに対しても、表情を変えず、ただ正美を見ているだけだった。
飯塚さんは、娘のいつもと違う空気を読んだのか、正美に断って、娘を連れて慌てるようにその場を去っていった。ひとり残された正美は息子の悟に声をかけず学校のトイレへ向かった。あれほど凝視された自分の顔を確認したくなったためだ。
トイレに入り生徒用に少し低い場所に設置された鏡を覗き込み自分の顔を見た瞬間に気づいた。鏡を見るのは、洗顔や化粧などの目的がある時だけで、自分の顔を見るために鏡を見たことがなかったことに気がついたのだ。
表面的なものをなぞっているだけで、自分の本質から目を背けていたような気がした。鏡に映る正美は、自分が思っている以上に疲れていて、皺やシミなどから受ける印象は、やつれた老婆のようだった。
「とても綺麗ですよ」
施術中のMの言葉を思い出し、惨めな気持ちがこみ上げてきた。その時、スマホにメール着信を知らせる振動音がした。
Mからのメールだった。
《A子さん
おはようございます。
昨日は、どうもありがとうございました。
そろそろ息子さんの運動会が始まったんじゃないかなと思ってメールをしました。
初めての運動会で、緊張しているかも知れませんね。
うちの一番下の息子は、幼稚園の発表会では、いつも大泣きで、せっかく練習したことが無駄になっていましたが、小学校では泣かずにちゃんと踊っていたことを昨日のように思い出します。
終わったらいっぱい褒めてあげてください。
楽しい一日を。
M》
正美は、偽善のようなメールに困惑と苛立ちを感じたが、癒されていた時の状態も同時に思い出した。返信はしなかった。
◆第五話
◆正美編 トップ
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僕もその一人で、結婚しても子供はひとりだけにしてくださいね~と言った努力目標的なもののように捉えていたのですが、この「一人っ子の国」というドキュメンタリー映画を観て、自分の無知さを恥じることとなりました。
映画を製作した中心人物は、一人っ子政策を実際に受けていた世代の2世にあたる女性です。
彼女は現在中国を出てアメリカで生活をされているようで、国外から母国を見てその異常さを記録に残したかったのかも知れません。
衝撃的な話が二つあります。
ひとつは一人っ子政策というのは決して努力目標と言った甘いものではなく、ひとりを出産すれば二人目は絶対に産ませないという強硬な手段をとっていたことでした。
もし二人目を妊娠してしまったら中絶手術を強制的にしますし、ひとり目を出産したら避妊手術も強制的に実施されます。
もしそれを拒めば引きずってでも病院に連れ込まれたり、家の屋根を剥がされたり、最終的には家を取り壊されたりしたそうです。
その話の中でひとりの女医の話がありました。
彼女は20年近く避妊手術や中絶手術を行っていたそうですが、その数は5万から6万件もあったそうです。
避妊手術と中絶手術の割合まではその映画の中で言及されてなかったため、何人の命を奪ったのかというのは分かりませんでした。
ただ確実に言えるのは、ひとりの政策側の人間が数万人の女性の人生を強制的に奪うという事実が存在していたということです。
衝撃だったことのもうひとつは、中絶といっても8カ月や9カ月になってから行われたこともたくさんあったということでした。
それはその女医の話だけでなく、黄色いビニール袋に入れられその上から黒いゴミ袋に包まれた赤ちゃんたちが、ゴミの山のところどころに捨てられている写真が証明していました。
一人っ子政策は、人口過多のために将来的に餓死する人たちを救うという目的があり、この映画を撮影した女性の親世代のほとんどが政策は間違っていなかったし、それがあったからこと今があるといった考えを持っています。
日本の今のコロナに対する政策と比較するのはおかしいと思うかも知れませんが、みんなが正しいと思っていることが後世からみると奇妙に思うこともたくさんあるはずです。
国の政策というのは、本当に恐ろしいなと感じる映画でした。
タクティリス~正美編 第六話
「秋山さん」
正美の後ろから女性の声が聞こえた。振り返ると悟と同じ年の男の子を持つ飯塚さんの笑顔があった。飯塚さんは、正美よりも十歳年下で、三十五歳になる。ご主人の浮気が原因で、二年前に離婚し二人の子供を一人で育てている。雄介くんが小学校一年生、薫ちゃんが五歳で、保育園に通っている。
飯塚さんは薫ちゃんの手を引きながらいつもの元気な笑顔を振りまいていた。正美は、他人に家庭内のことを相談することは無いのだが、彼女にだけは不思議と全てを打ち明けていた。それは自分にはない、女性としての強さを持っている彼女に対する尊敬と安心感から来ているようだ。
「おはよう。薫ちゃんと二人で来たの?」
「母も一緒に来てるんですよ。気合をいれてお弁当まで持参してくれてるんです」
「そう、よかったわね。薫ちゃんもおばあちゃんのお弁当、楽しみね」
正美は、飯塚さんの横にいる娘の薫に声をかけた。飯塚さんの娘の薫は、普段から女の子にしては口数が少なかった。社交的で、誰にでも気さくに声をかける母親とは、正反対の性格のようだ。
薫は正美の顔をじっと見ていた。正美はさっきまで想像していた事を見透かされているよう
な気がして落ち着かなくなっていた。
「ユーくん、頑張ってたね」
二度目の問いかけに対しても、表情を変えず、ただ正美を見ているだけだった。
飯塚さんは、娘のいつもと違う空気を読んだのか、正美に断って、娘を連れて慌てるようにその場を去っていった。ひとり残された正美は息子の悟に声をかけず学校のトイレへ向かった。あれほど凝視された自分の顔を確認したくなったためだ。
トイレに入り生徒用に少し低い場所に設置された鏡を覗き込み自分の顔を見た瞬間に気づいた。鏡を見るのは、洗顔や化粧などの目的がある時だけで、自分の顔を見るために鏡を見たことがなかったことに気がついたのだ。
表面的なものをなぞっているだけで、自分の本質から目を背けていたような気がした。鏡に映る正美は、自分が思っている以上に疲れていて、皺やシミなどから受ける印象は、やつれた老婆のようだった。
「とても綺麗ですよ」
施術中のMの言葉を思い出し、惨めな気持ちがこみ上げてきた。その時、スマホにメール着信を知らせる振動音がした。
Mからのメールだった。
《A子さん
おはようございます。
昨日は、どうもありがとうございました。
そろそろ息子さんの運動会が始まったんじゃないかなと思ってメールをしました。
初めての運動会で、緊張しているかも知れませんね。
うちの一番下の息子は、幼稚園の発表会では、いつも大泣きで、せっかく練習したことが無駄になっていましたが、小学校では泣かずにちゃんと踊っていたことを昨日のように思い出します。
終わったらいっぱい褒めてあげてください。
楽しい一日を。
M》
正美は、偽善のようなメールに困惑と苛立ちを感じたが、癒されていた時の状態も同時に思い出した。返信はしなかった。
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